今、困難に直面している方々、今望んでもいないのに何らかの苦労している方々、今何らかの課題に直面している方々、今不安を抱えている方々、今何か知らないがもやもやしたものがある方々、津波等の災害で喪失感等をお持ちになっている方々等々、要するに今何らかの苦難に直面して悩んで苦闘している方々すべてに贈る物語です。

 時は西暦2017年早春のころ、あるところの道端に二つの石ころが転がっていました。その一つは「甚八石(じんぱちいし)」と言う名前でした。もう一つは「甚助石(じんすけいし」」と言う名前でした。そのころ、いい天気の朝一に甚八石が甚助石に「我々もここに転がって来て早2,500年たったなぁ。いろいろな生き物が多く歩いて行ったが、我々に見向きもしないし、さっさと通り過ぎるだけで、誰も拾ってみようともしない。手に取って見ようともしない。ましてや声をかけてくれるものもいない。まったく寂しい限りだなぁ。石に生まれるものではないなぁ」と言いました。それを聞いていた甚助石は「そりぁそうだよ、甚八石ちゃん。我々はただの石ころ(煩悩多き我々人間)だ。そんなどこにでもあるただの石ころに誰も興味はないよ。しかし、数が多くなれば大きな力を発揮することができるよ。道普請等に使われ役に立つ。一個ではだめだが、まとまれば世の中の役に立つということだよ」と甚八石に言いました。その言葉を聞いた甚八石は「そりゃそうだ。それにしても現金なもので我々がもしダイヤモンドだったら我先にきっと誰もが拾うだろうなぁ」と甚助石に言いました。甚助石はそれを聞いて「甚八石ちゃん、当たり前じゃないか。ダイヤモンドは我々とは月とすっぽん、雲泥の差、提灯と釣鐘だよ。なんてったって一個でも価値が違う。ダイヤモンドはそんじょそこらにあるしろものではない。育ち(生成過程)が違うからなぁ」と言いました。すると甚八石は「そうだよなぁ。そんな愚痴や不満を言ったって何も変わらないよなぁ」と寂しく言いました。それ以外にもいろいろなことを両石は言い合いました。そんな言い合いをしているうちに夜になってしまいました。

 あたりはすっかり暗く静かになり甚八石と甚助石は眠くなってきたので同時に寝てしまいました。そして夜も深まったころ、この両石が寝ている枕元に天の神様がみすぼらしい格好で降りてきました。天から降りてきた神様は「甚八石君、甚助石君、わしは天の神だ。今すぐ起きなさい!!」と何と寝ている両石に向かって大きな声で叫びました。その大きな声を聞いた両石は、その声に驚き、目を覚ましました。そして甚八石がこの天の神様に向かって「何か大声が聞こえたので、起きてみたらみすぼらしいお爺さんじゃないか。なんか用事でもあるのか?」とみすぼらしかったのでついつい敬意も払わずに乱暴な言葉を発してしまいました。するとすかさず神様は「何を寝言いっているのだ!! 外見で人を判断したらだめだ。まずは誰にでも敬意と感謝の気持ちで接しなさい。わしを誰だと思っている、わしは天の神だ!!」と甚八石に言いました。それを聞いた甚八石は「えー!? 天の神様だって。本当に!? それは失礼しました。無礼をお許しください。でも何でこんなところに来られたのですか?」とすぐに神様に丁寧な言葉で謝り、質問しました。すると甚助石も驚いてすぐに「失礼しました。お許しください。でも何でここに・・・?」と甚八石と同じようなことを言ったのです。その言葉を聞いた神様は「仕方がない、わしが急に勝手に現れたからなぁ。わしにも責任はある。まぁ、そんなことはどうでもいいのだが、きょうの朝、お前たちが話している内容を、耳を澄まして天から聞いていたのだ。そしてそれを聞いて、いてもたってもいられなくなってここに降りてきたのだ。わしがここに来たのには一つの提案があるからだ。それを聞いてもらいたくてここにきたのだ。どうだ、その提案を聞いてもらえないだろうか?」と両石に言ったのです。

それを聞いた甚助石が「それにしてもよく聞いているものですねぇ、たまげました。それで我々に提案とは一体何でしょうか?」と驚いた様子で神様に逆に質問しました。すると神様が「わしはすべてのものが話した内容を天から聞くことを一つの仕事としている。だからどんなに内緒話や悪口でも、誰が何を言ったかはすべて解っている。そしてすべてのものの思いも解っている。それらはすべて帳面に記帳している。まぁ、わしの宣伝はそれぐらいにしておいて、わしの提案を単刀直入に言う。それはなぁ、お前さんたちがダイヤモンドにあこがれているみたいなので、お前さんたちを外見はダイヤモンドではないが、内面をダイヤモンド魂にしてやりたいという気持ちになったのだ。外見はそのままのただの石だが、目には見えないお前さんたちの魂をダイヤモンドのように強くキラキラと明るくひかり輝く雑念妄想のない、何事にもとらわれない、しなやかなすばらしい魅力ある魂にしてやりたいということじゃよ。もしかしたら、外見だけのダイヤモンドより魅力が出てくるかもしれんぞ。そんな魅力あるダイヤモンド魂になるためには一つの条件がある。それはわしの言うことを聞くかどうかだ。それがわしの提案だ」と言いました。それを聞いていた甚八石は一番関心を持ったと見えて「えー? 本当にダイヤモンド魂になれるのですか? もし、なれるとしたら一体どういう条件ですか?」と真っ先に質問しました。すると神様は「わしがお前たちを苦難の道に案内するのでその道を通るかどうかだ。直面する苦難から逃げないで、その問題と真正面から闘う覚悟があるかどうかだ」と言ったのです。突然そんな話を神様がしたものですから両石は面食らってしまいました。

しばらくして落ち着いた甚八石が「苦難の道ですか? そんなわざわざ苦難の道を行くというのは苦労が多いということですよねぇ?」と神様にまた質問しました。それを聞いた神様がすぐさま「そうじゃ、苦労するということだ。昔から“苦労は若いうちに買ってでもしろ”と言うじゃないか。そうすれば逆境に対する免疫力が出来る」と間髪入れずに返答しました。それを聞いた甚助石が「苦労をわざわざするなんて馬鹿馬鹿しい。そんなことやっていられない」と言いました。甚八石はそれを聞いてしばらく考え込んでいました。そして「神様、どうして苦難の道を行けばダイヤモンド魂になれるのですか?」と一番関心を持ったものらしい質問をしました。すると神様が「お前たちがここにじっとしていても、何の成長もしないし、何も得るものがないのがふびんに思えてきたのだ。せっかくこの宇宙の中の天の川銀河の太陽系の地球という惑星に誕生しながら2,500年もの間、何の変化もしないで一生を終わるのがなんだかかわいそうにもなってきたのだ。苦難の道は確かに苦しい。しかし、苦難が実はお前たちの魂を磨いてくれる砥石になるのだ。お前たちもどんどん魂を磨いていけば最後にはダイヤモンド魂になれるのじゃよ。それを約束しよう」と力強く断言したのです。それを聞いた甚八石は「何だか面白そうだ。我々も2,500年もここに居座っているが何の変化もない。2,500年たってもただの石だ。このままただの石に終わりたくなくなってきた」と言ったのです。

それを聞いた甚助石が「甚八石ちゃん、頭がおかしくなったのか? そんなわざわざ苦難の道を行かなくても、毎日楽をして生きていこうよ。俺はそんな苦難の道は嫌いだ」と言ったのです。それを聞いた神様は「今、この場で結論を出さなくてもいい。明日また来るから返事はその時でいいよ。ただし、一度下した決断は撤回することは出来ない。変更は出来ないということだ。確かに苦難の道は苦労が多いが、その苦労はさっきも言ったが逆境に打ち勝つ強力な抗体をつくって人生を生き抜くための免疫力をつけてくれる。ちょうど体の中に侵入した悪玉のウィルスをやっつけ病気に勝利する免疫力みたいなものだ。目には見えないがこんな利益もある。苦労に負けると酒、女(又は男)、薬物、ギャンブル等におぼれたりする場合もある。最悪、心の病になり突然自殺する場合もある。夜も眠れなくなってしまうかもしれない」と両石に言いました。それを聞いた甚八石は「なるほど。はい、解りました。明日までに甚助石ちゃんと相談しておきます」と神様に返答しました。それを聞いていた甚助石が「仕方がないが、何だかうさんくさい話だがそうしよう」と言いました。すると神様は「うさんくさいとはわしに向かって言う言葉ではないぞ」と神様は甚助石に優しく諭(さと)しました。すると甚助石は「それは失礼しました。つい、本音が出てしまいました。お許しください」と神様に謝りました。それを聞いた神様は「本音とは何だ!!」と少し大きな声で怒りました。

しかしすぐに「甚助石君は人の話を何でも悪いほう、悪いほうに考える癖があるなぁ。まぁ、それも仕方がない。今、年寄りを電話等でだます特殊詐欺がはやっているからなぁ。前は“おれおれ詐欺”だったが今は還付金詐欺や株式、社債等にまつわる投資話だ。コンビニに行って携帯電話を使って登録番号と称する番号をATMに押させて金を振り込ませたりする。この押している番号は詐欺グループの振り込み先の口座番号と振り込む金額等だ。キャッシュカードや通帳、ATM、登録番号、実在する証券会社名、何々が金をとりに行く等の言葉や話が出たらそれは詐欺だ。あとはいろいろな役割をした人物が電話をしてくる場合もある。弁護士、警察官、厚生労働省、社会福祉協議会、国民消費者センター等々それらしき役人等に化けてもっともらしいことを演じる。そういうのはすべて詐欺だ。そんなそれらしき人から直接電話はこない。だから、電話での金に関する話や郵便で送付されてくるパンフレット等で金にまつわるものには手を出さないことだ。金が戻る話も詐欺だ。詐欺グループの連中がよく使う言葉に“法的手段”や“逮捕される等”の言葉がある。これも詐欺だ。詐欺グループは何かの名簿で電話してくるので電話番号等を変えて防ぐことも出来る。世の中は悪徳グループもたくさんいるからうかうかしていられないのも事実だ。昔の人は“人を見たら泥棒と思え”と言ったがこれは一つの真実だ。警戒しなさいという一つの身を守るための注意喚起と考えればいい。今の時代すべて“人を見たら神様と思え”とはなかなかいかない。要は各自しっかりしなければならない時代だということだ。常に第六感を働かせていなくてはならない時代になったということだ。

腹が減ったらおまんま、精神はプラスエネルギーキャラ軍で元気!

まぁ、こんな世の中だから再度言うが、うさんくさいと思われても仕方がない。明日また来るよ」と神様は今の世相を両石に長々と話して、最後に何やらメモを甚八石に渡して姿を消しました。そのメモを受け取った甚八石はそれを読みました。そしてそれを読み終えると小さな声で「なるほど、なるほど」と独り言を言ったのです。その独り言を聞いていた甚助石は「甚八石ちゃん、そのメモには何が書いてあるの?」と聞いてきました。すると甚八石は「後で教えてあげるよ」と返答したのでした。そして両石は相談を始めました。

 開口一番甚助石が「今は大変な世の中になったものだなぁ。神様が言っていた詐欺グループも手の込んだことを考えるもんだ。そんなことを考える頭があるなら、その頭を世の中の役に立つことに使えばいいのにねぇ」と言いました。それを聞いた甚八石は「甚助石ちゃんもたまにはいいことを言うねぇ」と言いました。そしてすかさず甚助石がそんなほめてもらったことは意に介さず「甚八石ちゃん、さっきも言ったがお前は馬鹿か。そんな神様の言うことを信用しているのか? わざわざ苦難の道を行けば苦難が砥石になるって? そんな馬鹿なことがあるか。苦難の道を行けば苦しいことばかりさ。毎日毎日そんな苦しいことで生活していくなんて馬鹿馬鹿しい。そんなこと俺はいやだ、ましてや、外見がダイヤモンドになって美しくキラキラ光るのではなく、内面の魂がダイヤモンドになったところで何の得もない」と現実的な甚助石に戻って否定的なことをまくしたてました。それを聞いていた甚八石は「甚助石ちゃん、確かにお前さんが言うのも解る。しかし、何といっても神様がそう言っているので信用するしかない。お前さんがそう言ったのでは信用しないが、なんてったって神様が言っているのだから信用するしかないのだ。そして確かに外見はただの石で何の変化もないが、内面の魂が美しくキラキラと明るくひかり輝くことが本当の美しさじゃないかなぁ。そうすれば全体からかもし出されるものが普通と違ってきて、石自体が生き生きとしてくると思う。神様も言っていたが本物のダイヤモンドより価値が上がるかもかもしれないよ。心の内部の本当の魂から強くてキラキラと明るくひかり輝く雑念妄想のない晴れ晴れとして、何事にもとらわれないしなやかな本当の魅力が出てくることこそ本当の美しさだよ」と言いました。すると甚助石は「そんな魂になって何かいいことがあるのか? 目に見える形ある財産にでも化けるのか? そんな目に見えないものを求めても何の得にもならないし、ましてや一銭にもならない。儲からないものには興味はない。俺はこのままでいい。苦難の道に行って、わざわざ頭を使って悩み苦しんだ挙句に、一銭にもならないことには首を突っ込みたくない」と言いました。

すると甚八石は「頭は使わないと錆(さ)びつくし、認知症にもなり、最後にはぼけてしまう。頭は使うように出来ているのだよ。ダイヤモンド魂になればなんてたって雑念、妄想等がなくなり石関係(人間だと人間関係)がうまくいくようになるよ。石関係でうまくいかないのはほとんど雑念、妄想だ。これによって物事のちょっとした些細なことを悪いほう、悪いほうに受け取ってしまい結局関係がうまくいかなくなってしまう。不思議と悪いほう、悪いほうに引っ張られるのだ。ちょうど今の甚助石ちゃんのようにね。逆にダイヤモンド魂になれば物事を良いほう、良いほうに受け取れるようになる。物事を良いほうに受け取るか、悪いほうに受け取るかによって魂の輝きが自然と違ってくる。良いほうに受け取れば魂は明るくなり、悪く受け取ると魂は暗くなる。魂とはそういうものだ。そういうのは表情に出るものだ。そうすると物事が好転していくか、いかないかの分かれ道はそこにあるということだ。もちろん好転していくのは明るいほうだ。それではなぜ不思議と悪いほう、悪いほうに引っ張られるかということだ。それは心全体の構造はマイナス煩悩の勢力がプラス煩悩の勢力より強いからだよ。それでダイヤモンド魂になってそのマイナス煩悩をやっつければ悪いほう、悪いほうには引っ張られなくなる」と言いました。それを聞いた甚助石は「そんなことはどうでもいい。俺は楽をして生きていきたい。そんな目に見えないものを追っかけたって意味がない。ただそれだけだ」と言いました。

それを聞いた甚八石は「そんなことはないよ、甚助石ちゃん。楽をしていくと主体的に問題を解決していく力が養われないぞ。これから先は考えられない様々な困難もきっと待ち受けている。そんな困難も解決できなくなって最悪心の病になり最後は自殺ということになるかもしれないということを神様も言っていただろう。私はこんなことにならないように苦労するかもしれないが、自分に問題解決力をつけたい」と言いました。それを聞いた甚助石は「甚八石ちゃんは何でそんな詳しくいろいろなことを知っているの?」と甚八石に質問しました。すると甚八石は「実は神様から受け取ったメモにいろいろそういうことが書いてあったのだよ。最後にダイヤモンド魂になれる方法も書いてあったよ。このダイヤモンド魂はどんな逆境でも乗り越えられるとも書いてあった」と言いました。それを聞いた甚助石は「そんなことが書いてあったのか。それにしても甚八石ちゃんはお石好し(人だとお人好し)だ」と言いました。そんなことを言い合っているうちに両石は眠気を模様してきたので寝てしまいました。そして朝になっても昨日からの問題は平行線のままでした。そしてそのまま夕方になりまた夜がやってきました。

 両石がそんな言い合いに疲れ切って休んでいると、そこに昨日来た神様が現れました。そしてすぐに「どうじゃ、相談して結論が出ましたか?」と両石に聞いてきました。すると甚八石は「はい、私は苦難の道を行きます。神様の言うことを聞きます」と返答しました。そして次に甚助石が「俺は苦難の道には行きません。そんなの馬鹿馬鹿しくて聞いておられません。一銭にもならなくて、逆に自分が苦労をするような道にはいきません。俺は楽をして生きていきたいのです」と神様に即答しました。この両石の返事を聞いた神様は「解った。それでは甚八石君はわしの言うことを聞いて苦難の道という修行道に案内することにする。甚助石君は楽をしていくということなのでこのままの道を行ってください」と言いました。そして少し間を置いて神様は甚助石に「甚助石君、あなたはまたとないチャンスを逃がしました。せっかく私が用意した「生きるための知恵」である「心の財産」を苦難の道を通じてあなたに与えたかったのにあなたはそれを拒否しました。本当に残念です」と言って神様は甚八石と一緒にその場から消えてしまいました。その神様の最後の言葉を聞いた甚助石は「しまった!!」と思いました。甚助石は、財産は財産でも目に見えない「心の財産」があるということに神様の最後の言葉を聞いて悟りました。しかし、すべてはあとの祭りになってしまったとさ。

おしまい

※ 誰もが苦労はしたくありません。しかし、今何らかの理由でやむなく逆境に直面している方は、「きっと天があなたの魂を磨いてダイヤモンド魂にしてやりたいのでその舞台を用意してくれた」と考えてみませんか。そうすればどんな逆境もきっと乗り越えられます。「がんばれ」今、何かの逆境に直面しているすべての方々へ。