西暦3007年、ある田舎のおばあさんがかわいい男の子の孫に昔話を絵本でしてくれていました。物語のはじまり、はじまり。

 昔々今から約1000年位前にある町に金持ちの夫婦が住んでおったとさ。それはそれはりっぱな豪邸に住んでおったとさ。その金持ち夫婦の家の前には貧乏な豆腐屋が一軒あったとさ。その豆腐屋には毎日夕方に、近所の人が大勢豆腐を買いに来て、「アハハ・・・。」「オホホ・・・。」の笑い声が絶えなかったとさ。豆腐屋に来て世間話だの、きょうこんなことがあったとか、うちの子がきょう学校で先生に叱られたとか、のたわいのない話で花を咲かせていたとさ。その笑い声をいつも金持ち夫婦は「貧乏人のくせに何が面白い。」「貧乏人のくせに何が面白い。」と言っては、その豆腐屋に集まっている人達をいつも馬鹿にしていたとさ。この夫婦はこのかた50年ここに住んでいて一回も豆腐を買いに行ったことはなかったとさ。

その金持ち夫婦はある大銀行の大株主で株の配当金でザックザックと当時大儲けしていたとさ。その当時バブル経済、真っただ中で、一株500円の株が15万円になっていたんだとさ。毎日ウハウハしていたとさ。ところがところが、あることがきっかけでそのバブル経済が崩壊したんだとさ。この夫婦が投資していた銀行は特に不良債権がとび抜けて多く再建不可能ということで潰れてしまったとさ。その夫婦が持っていた株券は一晩で紙くずになったとさ。そしてその金持ち夫婦はさっさと死んでしまったとさ。

死んでしまった後にその家に神様が現れて死んだ二人の前で「お前らは前の豆腐屋に来ていた人達をいつも馬鹿にしていただろう。幸せ、とは前の豆腐屋にあったのだ。何でそんなことにもっと早く気付かなかったのだ。馬鹿なのはお前ら二人だったのだよ。もっと早く気付いていれば死ぬことはなかったのに・・・・。お金だけが幸せの物差しではなかったのに。人を馬鹿にしていたのでお前ら二人は天罰がくだったのだ。」と言ったとさ。そして静かに神様は消えたとさ。
おしまい

腹が減ったらおまんま、精神はプラスエネルギーキャラ軍で元気!