No12.「まごころ地蔵」の、いじめ相談A

 時は地球世紀21世紀の、西暦2006年。地球から9000億兆光年離れている、神界の精霊党党首であり、神界総理でもあるウルトラエンゼル総理神のところに、天の川銀河の中心に配置してある「神界宇宙問題発見探査衛星(略してSUMHTE))から、重大な問題が報告されました。それは、地球の日本という国に自殺が多発しているという、報告だったのです。せっかく授かった大切な「命」を自ら葬ってしまう、という問題だったのです。その報告を受けたウルトラエンゼル総理神は、この問題は、見逃すことのできない重大問題として受け止め、早速、神界閣議を開き、対応措置を検討することになりました。

 ウルトラエンゼル総理神は、まず、アタマイーダ官房長官神に「何か自殺を防ぐいい知恵はないのか。」と、切り出したのです。アタマイーダ官房長官神は「うーん。なかなか難しい問題ですね。自分で自分の命を絶つ。ここまで追い詰められてしまうというのは、日本にいったい、何が起きているのでしょうかねぇ。実態が分からないと、手の打ちようがないなぁ。」と、言いました。総理神は「官房長官神、そんなのんきなことを言っていられる場合ではないぞ。詳しい報告書によると、日本年号平成10年から平成18年までの連続9年間、毎年自殺者数が3万人を超えていると言うことだ。これはもはや異常事態というほかないぞ。一年間に人口3万人の町が毎年毎年消えていると同じことだ。これは世界最高水準のレベルだ。たしか、日本は、世界でも有数の工業生産をほこる大国、という報告も受けている。経済的には恵まれているはずなのに、なぜ自殺する人が多いんだ。このところがよく分からない。しかし、何とかしなければならないのは確かだ。」と、言いました。これに対してアタマイーダ官房長官神は「うーん。総理神、昔、陸の神様と海の神様が喧嘩(No11陸の神様と海の神様の地球分捕り合戦参照)しているときに仲介して解決したように、総理神自ら、日本に行って解決したらどうでしょうか。」と、言ってきたのです。

すると総理神は「そうしたいのだが、公務の予定がびっしりで動けない状態だ。何かいい考えはないか。」と、言いました。それを聞いていた「カイケツスルーダ神界いじめ問題特命大臣神」は「総理神、私に考えがあります。たしか、日本の越後に、まごころ地蔵がおったと思うのですが、もしその地蔵がまだ健在ならば、その地蔵に連絡を取り、地蔵から一働きしてもらいましょう。」と、言いました。すると総理神は「それはいい考えだ。早速、ゲンキイーダ文部科学大臣神、今はたしか、越後ではなく、新潟県になっているはずの、まごころ地蔵の所在を確認し、確認され次第、超高性能宇宙神界パソコン(略してTUSP)で宇宙瞬間移動電子メール(略してUSITM)を送信して神界閣議の内容を知らせるように。」と、ゲンキイーダ文部科学大臣神に命じたのです。それを受けたゲンキイーダ文部科学大臣神は「総理神、まごころ地蔵の所在が、もし確認された場合、TUSPをSSUIMで送り、このTUSPとSSUIMをリースします。そして使い方をすぐに理解してもらって、何とか連絡を取ります。」と、返答したのです。総理神は「早速、着手してくれ。」と、言いました。それに基づいてゲンキイーダ文部科学大臣神は、SUMHTEで、まごころ地蔵の所在を確認しました。そして、TUSPをSSUIMで、まごころ地蔵に送ったのです。

 まごころ地蔵は、日本の新潟県に健在でした。地蔵の前の道は、舗装され、大型トラックや乗用車などの車がひっきりなしに往来していました。時代はすっかり変わっていました。ただ一つ救いは、時代は変わっても、この村の人達が、このまごころ地蔵を、大切にして守ってきたことでした。まごころ地蔵は神界から急に送られてきたものにびっくりしました(人間には見えない)。しかし、9000億兆光年かなたの神界のウルトラエンゼル総理神の存在は宇宙選挙速報で分かっていました(ウルトラエンゼル総理神の任期は300億年)。早速まごころ地蔵は恐る恐る神界から送られてきたTUSPを開いてみました。開いてみてあまりの複雑さにびっくりしてしまいました。しかし、このTUSPは「瞬間理解キイ」があり、ここをたたくと、すぐに理解できるしろものでした。まごころ地蔵は、すぐにこのキイをたたいて、このTUSPを理解しました。そしてUSITMが届くのを待ちました。そしてすぐに神界のウルトラエンゼル総理神から、USITMが送信されてきたのです。

その内容は「拝啓 まごころ地蔵殿 私は神界のウルトラエンゼル総理神です。元気でご健在のこと、心からお喜び申し上げます。急なことで大変申し訳なく思うのですが、緊急事態なので何卒ご理解していただきたくお願い申し上げます。今、あなたがいる日本は、自殺する人が大変多いことがSUMHTEでの報告で分かりました。本来ならば、私が直接地球に行って、問題解決しなければならないところなのですが、重要な公務の予定が入っていて動けません。そこで私に代わり、あなた様にこの問題を取り扱っていただくことが、神界閣議決定されました。具体的な仕事ですが、こちらのSUMHTEで、いろいろ悩んで自殺を考えている人を見つけますので、その人のところへ行って、相談に乗ってほしいのです。できれば自殺をしないように説得してほしいのです。詳しいその人の住所はTUSPで送信します。そしてその人のところへは、TUSPと一緒に送ったSSUIMで移動してください。SSUIMは、行きたいところの住所をセットすれば、すぐに行けます。尚、TUSPとSSUIMは本来ならば有料リースですが、今回は特別の事情につき、無料です。最後に、この問題を受けていただけるかどうかのご返答を、すぐにいただけますでしょうか。」と、いうものでした。まごころ地蔵はすぐに「この問題は喜んでお引き受けいたします。」と、いうUSITMをウルトラエンゼル総理神に送信しました。それを受けたウルトラエンゼル総理神は、早速、SUMHTEで報告されてきた、学校でいじめられて自殺を考えている一人の中学生の住所を、地球のまごころ地蔵あてにUSITMで送信しました。

 地球のまごころ地蔵は、すぐにそのUSITMを受け取りました。その内容は「まごころ地蔵殿 早速ですが、下記の住所のところに住んでいる中学2年生の男子が、同じクラスの男子数人に、いじめられて自殺を考えています。すぐに行って相談に乗ってください。そして自殺を思いとどめてください。」
[いじめで悩んでいる中学生の詳細]
住所      北海道札幌市学校町3丁目5番10号
世帯主名    大井名矢実さん
お子様名    大井名矢夢くん(中学2年生男子)
と、いう内容でした。すぐに、まごころ地蔵は新潟県からSSUIMで、この住所をセットし、北海道の札幌に移動しました。

 案の定、ここに住んでいる中学生の大井名矢夢くんが、悶々と悩んでいました。まごころ地蔵は小さい声で「名矢夢くん、名矢夢くん、私はまごころ地蔵だ。いま、いじめられていることは分かっている。君の抱えている問題の相談に乗るために、新潟県からやってきた。この地蔵に心を開いて何でも話してみないか。」と、言いました。すると名矢夢くんは驚いた様子で「まごころ地蔵様、何で僕が悩んでいることが分かったのですか。」と、地蔵に聞いてきました。地蔵は「実は信じられないかもしれないが、この地球から、9000億兆光年離れている、ウルトラエンゼル神という神界の神様が、この天の川銀河の中心に配置してあるSUMHTE、という衛星で、君がいじめで悩んでいることを発見して、私に連絡してきたのだ。そこで君のところに来たってわけだ。」と、言いました。すると名矢夢くんは「まごころ地蔵様、9000億兆光年離れていれば、光の速さ(一秒間で地球を7周半できる秒速30万km)で行っても9000億兆年、という気が遠くなる時間がかかるのに、何でそんなに簡単に連絡が取れるのですか。」と、中学生らしく科学的に質問してきたのです。まごころ地蔵は「確かに君の言うとおりだ。しかし、神の世界は、科学では分からない物凄いものがあるのだよ。この途方もない宇宙空間を瞬時に移動したり、連絡したりできるマシーンがあるのだよ。」と、言って聞かせました。名矢夢くんは信じられない様子でしたが、すぐに「まあいいや。この宇宙には人間の常識では理解できないことがあると思うよ。で、まごころ地蔵様、本当に僕の相談に乗ってくれるのですか。」と、言いました。

まごころ地蔵は「そうだ。何でも相談にのるよ。気軽に話をしよう。」と、言いました。そしてすかさず「名矢夢くん、何で君はいじめられているの。」と、質問したのです。それに対して名矢夢くんは「僕は背が低いので、同じクラスの数人が、ちび、ちび、と、言って馬鹿にするんだ。僕はもう耐えられないよ。」と、言ったのです。まごころ地蔵は「そうだったのか。ひどいことを言うものだ。人の身体的に劣っているところを責めて、いじめるとは、とんでもないやつらだ。最低なやつらだなぁ。それで先生に相談したのかい。」と、言いました。すると名矢夢くんは「相談したんだけど、真剣に聞いてくれないんだ。せいぜい、気にしないように、というくらいなんだ。僕が死ぬほど悩んでいるのに。」と、言ってきたのです。地蔵は「そうか。学校の先生は、君の悩みを軽く考えているんだなぁ。困ったものだ。これだけいじめが社会的問題となっているときなのに、これではだめだなぁ。ところで、こんなことで命を粗末にしたらだめだよ。君は命ということを真剣に考えたことはあるの? 今、君が命をここで落としてしまうとお母さん、お父さんを、悲しみのどん底に落とすことになるのだよ。まだ、14歳じゃないか、まだまだ先は長いよ。考え方によっては、今こんな問題で悩んでいることは、君の人間としての成長のためには、絶好のチャンスかもしれないよ。

いじめている人間より、君はきっと人間的に早く成長できるよ。人間はいろいろ悩んで成長するものなんだよ。君が大人になったとき、中学生のときに、いろいろ悩んだことが、精神的な免疫力となって、君のためになると思うよ。人間生きていくときには、様々な問題が待ち受けているのだよ。そして、その問題を解決していかなければならないんだよ。君は14歳で、初めて「いじめ」という問題にぶつかったことになる。この問題は君の考え方一つで解決できるよ。」と、言いました。それを聞いていた名矢夢くんは「何となく分かったみたいだけど、まごころ地蔵様も、僕が本当に苦しんでいることが分かっていないよ。学校に行けば、毎日毎日、針のむしろだよ。つらいんだ。いじめられてから、女子の見る目も変わってきたように思えるし。何だか、みんなが僕の背が低いことを馬鹿にしているように思えてくるんだ。」と、言いました。

すると地蔵は「そうか。それはつらいことだなぁ。地蔵も何だか分かるような気がしてきたよ。一番感受性があるときでもあるしなぁ。しかしなぁ、名矢夢くん、背が低いことが、そんなに人間として恥ずかしいことであり、悪いことかなぁ。地蔵はそうは思わないよ。むしろ、そんなことで、いじめている人間のほうが、恥ずかしいことであり、悪いことだ、と思うよ。まったく逆だよ。すべてのいじめは、いじめられているほうは、何にも悪くないのだよ。悪いのは、いじめているほうだよ。だから、本当ならば、君が萎縮し、気に病むことは、ないんだよ。そうだろう。そして、まだ中学生であり、まだまだ成長期だ。今いじめている生徒より、大きくなる可能性が十二分にあるしね。仮に大きくならなくても、何の問題もないよ。だって人間みんな違うところを持って生まれてくるのだから。みんな同じく生まれてきたらこの世の中、気持ち悪いと思わないかい。この機会にこんなことを考えてみないか。」と、言いました。そしてつづけて「名矢夢くん、明日学校へ行って、みんなが、ちび、ちび、と言ってきたら、ちびのどこが悪いんだ!! 文句あっか!! と、勇気を持って言ってごらん。人間、あんまりおとなしいと、なめられることもあるんだよ。人が何か言ってきたら、場合によっては反論することも大事なことだよ。反論は自分の殻を破ることにもなるしね。このいじめは、君の殻を破る絶好のチャンスという言い方もできるよ。人間、問題にぶつかって、自分の殻を破って成長していくのじゃぁないのかなぁ。逆に自分の殻の中に閉じこもってはだめじゃないのかなぁ。自分の考えをしっかりと相手に伝えることは大事なことだよ。自分をもっと出していいんだよ。相手とそこで摩擦が起きるかもしれない。

しかし、それは避けて通れないことだよ。長い人生、場合によっては本音でぶつからなければならない局面もあるんだよ。そんなことを少しでも分かってほしいんだ。地蔵は全面的に君の味方だ。安心して、いじめている人間に、俺は、ちび、だけど何か文句あっか!! と、言ってごらん。この一言で状況は一変するよ。人間、喧嘩するぐらいの気概を持って、相手と闘わなければならないときもあるんだよ。今がそのときだと思うんだ。」と、言いました。それを聞いていた名矢夢くんは「喧嘩してもいいんですか、まごころ地蔵様。暴力はいけない、いけないと親からも言われています。」と、言ってきたのです。地蔵はすぐに「暴力による喧嘩はいけないよ。気持ちだけは、喧嘩してもいいという思いで臨んでごらん、ということなんだ。相手もびっくりするからね。人を簡単にいじめる人間は、以外と気が小さい人間が多いもので、その人も何か悩みや問題を抱えているものだよ。喧嘩するくらいの気持ちでぶつかっていけば、本当の友達になれるかもしれないよ。」と、言いました。

すると名矢夢くんは「本当に僕の味方ですね。」と、言いました。地蔵は「あたりまえじゃないか。味方だから遠いところからやってきたんだよ。」と、返答しました。その一言で安心したのか、名矢夢くんは「まごころ地蔵様、少しは分かったような気がします。僕は何だか自分の殻の中に閉じこもっていたみたいです。そのために悶々として死ぬことを考えていたような気がします。そんなことを、まごころ地蔵様のお話で分ったような気が、だんだんしてきました。明日学校に行って、僕をいじめるやつがいたら勇気を持って、俺は、ちびだけど、何か文句あっか!! と、言ってみます。」と、言ったのです。そしてすぐに地蔵は「そうそう。その勇気が大切だ。少しは分かってもらえたみたいだね。もし、そう言っても、なんら解決しなければ、また私に相談してもらいたいよ。ところで問題が解決するまで、私を名矢夢くんの家に泊めてもらえるだろうか。」と、言ったのです。名矢夢くんは「いいです。きょうは僕と一緒に寝ましょう。」と、言ってくれました。そしてまごころ地蔵は、名矢夢くんと一緒に寝たのでした。名矢夢くんは、悩んでいたときの深刻な様子は、すっかりと消えて、ぐっすりと眠ることができました。

 そして夜が明けました。名矢夢くんは元気よく学校へ行きました。学校の休み時間に、いつもいじめている学友の井地目矢郎が、いつものように名矢夢くんに「ちび、ちび、よくきょう学校に来たな! ちびのくせに大きな顔をするんじゃないよ!」と、言ってきたのです。すかさず名矢夢くんは、地蔵が言ったことを思い出して「俺はちびだけど、何か文句あっか!! お前はただ人をいじめて喜んでいる最低の人間だ。このことに関して何か文句あっか!!」と、周りの生徒に聞こえる大きな声で、勇気を持って反論したのです。初めてこんなことを言われた井地目矢郎は、いつもの名矢夢と違う態度にびっくりした様子で「いやいや、なんでもない。俺が悪かった。」と、すんなり謝ったのです。名矢夢くんは心の中で「もしこれで喧嘩になったら喧嘩してやろう。」と、思って臨んだのでした。その迫力で井地目矢郎は、すっかりいじめる気がなくなってしまったのでした。これを見ていたクラスの女子は、手をたたいて名矢夢くんの、この勇気ある行動をたたえてくれました。ある女子は「名矢夢くんって勇気あるー。見直したわ。わたし好きになっちゃった。」と、言いました。名矢夢くんの勇気あるこの一言が、状況を一変させたのです。そしてこのことはすぐにクラスに広まって、名矢夢くんをいじめる人はいなくなりました。そして名矢夢くんは、学級委員に選ばれました。そして「もし、人をいじめるやつがいたら、俺が許さんぞ!!」と、言って、クラスの人気者になりました。名矢夢くんは「ほんのちょっとした勇気がいじめをなくすのだ」と、いうことに気が付いたのでした。そして正しいことを正しいと、正々堂々と主張していくことは、いじめている人間をのさばらしておかない方法だ、と気付いたのでした。

まごころ地蔵は、名矢夢くんの家にだいぶお世話になったのですが、問題解決したことを見届けて、またもとの新潟県の自分の家に帰りました。そして、そのことをウルトラエンゼル総理神に、TUSPでUSITMを送信しました。その報告を受けたウルトラエンゼル総理神は「よかった。よかった。これで一件落着だなぁ。しかし、まだまだ、まごころ地蔵には、働いてもらわないといかんなぁ。」と、言ったのでした。それというのも、SUMHTEから続々と問題が報告されていたのです。      おしまい

腹が減ったらおまんま、精神はプラスエネルギーキャラ軍で元気!

No12.「まごころ地蔵」の、いじめ相談A 
No14.「まごころ地蔵」のいじめ相談C 
No.28「まごころ地蔵」の、在宅介護疲れ相談D
GFIT法を実践してみませんか
No13.「まごころ地蔵」の、うつ病相談B

 北海道の札幌のいじめ問題を解決してきたまごころ地蔵が、休んでいると、TSUPにUSITMがウルトラエンゼル総理神から送信されてきました。その内容は「拝啓 まごころ地蔵殿 北海道のいじめ相談はご苦労様でした。休んでいるところ、まことに申し訳ないのですが、下記の住所の猛烈会社員がうつ病にかかり自殺を考えていることがSUMHTEから報告されてきました。早速、SSUIMで移動して相談に乗ってもらいたいのです。疲れているのは承知しています。しかし、その人が命を落としてからでは間に合いません。よろしくお願い申し上げます」。

[うつ病で悩んでいる会社員の詳細]
住所 東京都練馬区名屋美町一丁目五番地10号
会社員名 宇津丹奈留男さん(36歳)
職種 自動車の営業

という内容でした。まごころ地蔵はSSUIMをすぐにセットして東京へと出発しました。

 案の定、宇津丹さんの家につくと会社員の奈留男さんが悶々と悩んで死ぬことを考えていました。まごころ地蔵が小さい声で「宇津丹さん、宇津丹さん。私はまごころ地蔵です。あなたの抱えている問題の相談に乗るために新潟県からやってきました。心を開いて何でも話してください。」と、言いました。すると宇津丹さんは突然の声にびっくりした様子で「まごころ地蔵って、あの新潟県のお地蔵さんですか?」と、言いました。すると地蔵は「よくご存知ですね。私は本来、人の心を悔い改めさせるということが本職ですが、事情があり、いろいろと悩んでいる人のところへ行って、相談に乗るボランティアもやっています。」と、言いました。そしてつづけて「私のことはどうでもいいことです。あなたは今、うつ病にかかって死ぬことを考えているということが、ある、すじの、調査で分かりました。それで私が参上したわけです。これも何かのご縁です。心を開いて何でも話してください。」と、言いました。すると宇津丹さんは「何で俺がうつ病になっていることがわかったのですか。誰にも話していません。俺の女房にも話していないのです。絶対、誰にも分かるわけがない。」と、言いました。すると地蔵は「ある、すじの、具体的なことは、話せば長くなるし、あなたはきっと信じません。だからこれは省略します。とにかくうつ病になっていることは間違いないことです。だからそのことを話してもらって、何とか自殺を思いとどめてもらいたいのです。」と、言いました。宇津丹さんは、納得はしませんでしたが、自分がうつ病にかかっていることを知っていたまごころ地蔵を信用することにしました。そして宇津丹さんは「何でこんな病気になってしまったのかと、本当に情けなくなります。」と、素直に言いました。地蔵は「あなたはきっと頑張り屋で、努力家で、まじめな人なのです。そんな優秀な人が、かかりやすい病気なのです。問題はあなたが誰にも言わず、一人で悶々と悩んでいることなのです。」と、言いました。

すると宇津丹さんは「だって俺は今までトップセールスマンを突っ走ってきたんだ。こんな病気になって負け犬とよばれたくないよ。」と、言いました。地蔵は「なるほど、そうだったのですか。私も分かるような気がします。しかし、今あなたはうつ病になったことを認めましたね。うつ病だということを、あなたは自分で分かっているのです。一つ質問します。今、医者へ行っていますか?」と、言いました。宇津丹さんは「医者なんか恥ずかしくて行けません。精神科と聞いただけで行く気が起きないのです。」と、言いました。地蔵は「宇津丹さん。あなたの考えは昔の考えですよ。まずその考えを変えないとだめだなぁ。今はいい薬もあるのです。そしてうつ病は正しい治療をすれば必ず治る病気なのです。人間生きていれば、肉体的な病気にもなるし、精神的な病気にもなるのです。人間は心身で一つの体ですから。精神科やメンタルクリニックへ行って診てもらうということは、人間として恥ずかしいことでも何でもありません。ましてや、負け犬でも負け組でもありません。うつ病は医学的に脳内伝達物質であるセロトニンが不足すると、発症すると言われています。ですから昔の精神論的な病気ではないのです。だからさっき、昔の考えだ、と言ったのです。

例えば、あなたが今、骨を折ったとします。そうしたらきっと医者へ行くでしょう。骨を折ったら負け犬ですか? ところが、うつ病になっているあなたは医者へは行きたくないという、負け犬と思われるからという。これはどういうことですか? きっとあなたは休みもろくにとらず無理したのではないですか。例えば、昔、スーパーのレジで指を使っていた人が指を休ませないで使っていると、よく、けんしょう炎になりました。人間の神経も肉体も休ませないで使っていると、疲れてまいってしまうのです。まさに、けんしょう炎と同じです。体が疲れているのに無理していると風邪などにかかります。人間の神経や肉体もこんなものなのです。人間の神経は交感神経(簡単に言うと、がんばれがんばれと働く神経)と副交感神経(簡単に言うと、休め休めと働く神経)の二系統によって成り立っています。あなたはほとんど交感神経のみを使ってきたと思われます。だから心身が疲れたのです。その現象がうつ病としてあらわれたと、私は思うのです。さっきのけんしょう炎や風邪などと同じことなのです。だれだってこんなに心身を酷使すればうつ病になる可能性があるのです。このことを分かってほしいのです。」と、言いました。

すると宇津丹さんは「なるほど、まごころ地蔵様、少し分かったような気がしてきました。医者へ行かなかった自分が間違っていました。」と、言いました。すると地蔵は「宇津丹さん。医者もいろいろです。医者へ行くときはインターネットで調べたり、世間の評判を聞いたりして医者を決めたほうがいいですよ。そしてね、宇津丹さん、医者へ行ってからが本当に病気との闘いであり、自分との闘いですよ。はっきり言いますが、医者へ行っていても、中には途中で発作的に自殺する人もいるそうです。短気をだして発作的にならないように注意してください。中には死にたい、死にたいという気持ちが強くなる人もいるそうです。そんな気持ちが強くなったとき、「この野郎!!そんな誘惑に負けてたまるか。おれは生きるんだ!!生きて生きて、生きぬくんだ。」ともう一人の自分と闘って下さい。それはあなたの思考を別な方向へと回避させてくれるかもしれません。また、仕事を休むかどうかは医者と相談しながらやったらいいと思うのです。ここで大事なことは、仕事は二の次です。一番は病気を気長に治すことです。温泉に行ったりして心と肉体を休ませて上げてください。このことをしっかりと自分の中に抑えておいてください。今は職場の中でもメンタルヘルスケアに力を入れているところが多くなってきましたので、仕事のことは会社等と相談したり、又は弁護士と相談したりしながら継続できる道を考えて下さい 。人間、仕事より体が大切であり、命が大切なのです。病気が治れば新たな展望もきっと開けてきますよ。

人間は、自分が病気になって初めて体を、いたわらなければならないことを学ぶものなのです。あなたはきっとエンジンを全開させっぱなしで休ませなかったのです。これではいつかオーバーヒートを起こします。今、そのオーバーヒートを起こした状態なのです。そのことを自覚してください。」と、言いました。これを聞いていた宇津丹さんは「そのとおりです。俺は仕事人間でした。体をいたわるとかは、まったく考えていませんでした。人よりいい成績を上げることしか考えていなかったのです。人生の価値観を人よりもいい成績を上げることにしかおいていなかったのです。今、自分がこんな病気になって初めて休むことの大切さが分かったような気がします。」と、言いました。すると地蔵は「いいところに気付きました。そうなのです、宇津丹さん。あなたは考えが極端に偏っていたのです。たしかに、がんばることは悪いことではありません。

しかし、かんじん要の体と相談しながら働かなければならなかったのです。体のことは健康のときに注意しなければならなかったのです。ストレスを上手に解消することを、あなたはしてこなかったのではないでしょうか。健康に対する考え方のバランス感覚が不足していたと思われます。宇津丹さん、もし治療が始まったら家族の協力も必要ですよ。正直に病気のことを話して協力してもらってくださいね。そしてさっきも言ったように治療が始まって、本当の病気との闘いと、自分との闘いが始まります。きちっと治療すれば必ず治るのです。場合によっては長くかかるかもしれません。そしてね、心の問題として、俺はうつ病だ、だから治療が必要だ、と開き直ることも大切ですよ。あなたもご存知かもしれませんが、俳優の高島忠夫さんも、うつ病で長期間治療していました。あの方は全部世間にオープンにしました。その開き直りも功を奏して病気は治りました。」と、言いました。宇津丹さんは「分かりました。まごころ地蔵様の言ったことを心の支えにして治療に専念します。」と、言ってくれたのです。地蔵は「これで一安心です。途中で迷いが出てきたらここをクリックして読んでみてください。また、関連のページも読んでみてください。何か参考になるかもしれません。そうそう、最後に、食事も大切ですよ。牛乳、卵、牛肉の中に脳内伝達物質のセロトニンを作る栄養素が多く含まれているそうです。特に牛乳の中に多いそうです。牛乳をたくさん飲んで下さい。うつ病が最近日本に多く発症しているのは、今はやりのダイエットブームも一因していると指摘する医学者もいるくらいです。」と、言いました。宇津丹さんは最後に「いろいろありがとうございました。」と、まごころ地蔵にお礼を言いました。地蔵は「それではさらばじゃぁ。」と、言ってSSUIMで新潟県の自分の家に帰っていきました。 参考・・・過労自殺の予防

 自分の家についたまごころ地蔵はTSUPでウルトラエンゼル総理神に宇津丹奈留男さんの件をUSITMで報告しました。この報告を受けたウルトラエンゼル総理神は「一応、自殺は避けられた。しかし、これからも見守っていかなければならないな。」と、つぶやきました。
おしまい

No12.「まごころ地蔵」の、いじめ相談A 
No13.「まごころ地蔵」の、うつ病相談B 
No.28「まごころ地蔵」の、在宅介護疲れ相談D
GFIT法を実践してみませんか
No14.「まごころ地蔵」のいじめ相談C
人生の中で一番大切なことは「命をつなぐ」ことです

 東京から帰ってきた、まごころ地蔵のところに、またUSITMがウルトラエンゼル総理神から送られていました。地蔵は「まったく、総理神も地蔵使いが荒い。休みなしで続ければ過労死するぞ。」と、ひとりごとを言いました。地蔵はそうは言いつつも、メールを読んでみました。そのメールは「拝啓 まごころ地蔵殿 また、いじめで悩んで自殺を考えている中学生がいることをSUMHTEが報告してきました。早速SSUIMで移動して相談に乗ってください。尚、あなたも疲れていると思いますので、TSUPの「ツカレトールキイ」をたたいてみてください。これをたたくと一瞬に疲れをとる「ツカレトールイオン」がそのパソコンから出てきます。それにあたるとすぐに疲れがとれるようになっています。きっと私のことを、地蔵使いが荒いご神、と思っているはずです。どうかそのイオンにあたって疲れを取ってください。そのいじめられている中学生の詳細は下記に記しておきましたのでよろしく頼みます

[いじめで悩んでいる中学生の詳細]
住所    福岡県北九州市八幡区世伊所町三丁目2番地
世帯主名   京育熱雄さん
お子様名   直子さん(中学一年生女子)

という内容でした。地蔵はすぐに「ツカレトールキイ」をたたいて疲れを取りました。そしてSSUIMで九州の北九州市に移動しました。 案の定、直子さんが悶々と自分の部屋で悩んでいました。地蔵は小さい声でいつものように「直子さん、直子さん、私は新潟県のまごころ地蔵です。いろいろ悩んでいる人のところへ行って相談に乗っています。私に心を開いて何でも話してみませんか?」と、言いました。すると直子さんがびっくりした様子で「何で私がいじめで苦しんでいることが分かったのですか?」と、言ってきました。すると地蔵は「話せば長くなるし、おそらくあなたは信じません。だから詳しいことは省略します。とりあえず、今の状況を話してくれませんか。」と、言いました。直子さんはすぐに「悪いお地蔵さんでもなさそうだし、とりあえず信じます。」と、言ってくれたのです。地蔵は喜んで「ありがとう直子さん。私が来たからには悪いようにはしません。で、今、どんな状況なのですか?」と、言いました。直子さんは「実は私の母に、同級生の女の子にいじめられていることを話したのです。そうしたら母は、「だめでしょう、いじめられたらいじめ返しなさい。そんな弱い人間でどうするのですか。もっと強くなりなさい」と、言うばかりです。私はそんないじめ返せる性格でもないし、そんな強い人間でもないのに、母はそれ一点張りなの。本当にどうしたらいいか分からなくなってしまったの。」と、言いました。それを聞いていた地蔵は「そうだったのですか。あなたは心根のやさしい人です。それで悶々としていたのですね。それではいますぐにお母さんをここへ呼んでください。一緒に話しましょう。」と、言いました。直子さんは「分かりました。すぐに母を呼んできます。」と、言って2階から下へ降りてお母さんを呼びにいきました。

しばらくすると、直子さんの母親である良子さんが、直子さんと一緒に2階に上がってきました。2階にまごころ地蔵がいたので、母の良子さんはびっくりしました。良子さんは「あらあら、本当にお地蔵さんだこと。お話しもできるんですって? うちの直子が言っていました。信じられませんけど、直子が気にいったようなので私も信じます。」と、言いました。地蔵は「ありがとうお母さん。私の詳しいことはインターネットのここをクリックして見てください。そうすれば分かります。で、お母さん、直子さんのお話は聞いていますよね。」と、すぐにいじめの問題に入ったのです。するとお母さんが「はい。聞いています。私はそんな弱いことではだめです、と言い聞かせています。いじめ返すくらいにならなければ今の世の中、生きていけません、と言っています。これが何か悪いことでしょうか。」と、言いました。すると地蔵は「それは悪いことではありません。でもお母さん、直子さんは、それができないと言っているのです。あなたは娘の直子さんを否定していることになるのですよ。直子さんは本当に心根のやさしい人なのです。それを分かってあげなければなりません。このことは分かりますか、お母さん。」と、言いました。お母さんは「まごころ地蔵様、今の世の中、そんな軟弱な考えでは生きていけません。生き馬の目を抜くくらいの根性がなければだめなのです。」と、言いました。地蔵は「それは分かります。しかし、その考えはお母さんの考えであり、直子さんの考えではないのです。直子さんは、お母さんがそんなことを言うので悶々と悩んでいるのです。このままいくと直子さんがだめになりますよ。お母さん、この機会に自分の娘をそのまんま丸々と受け入れてみませんか。人間みんな性格は違います。そこのところをしっかりと抑えておかないと、とんでもないことになりますよ。」と、言いました。お母さんは「お地蔵様の言っていることは理想論です。現実は競争、競争で大変なのです。このことは分かりますか?」と、逆にまごころ地蔵に質問してきたのです。これには地蔵もびっくりしました。そしてすぐに「お母さん、今の日本は子供がいじめで自殺するのですよ。自分で命を絶つのですよ。このことをもっと深く考えなければなりません。確かにお母さんの言われることはごもっともです。

しかし、お母さんの言っていることは、子供が弱いから自殺する、といっているようなものです。子供でも本当に心根のやさしい子供もいるのです。そんな子供をいっしょくたんに、弱い子供、とレッテルを貼ることは間違っていると思うのです。子供の一人一人の性格を見極めて対応していかないと本質を見失ってしまう恐れもありますよ。そして大人が勝手に競争、競争とあおって、それについていけないのは、ついていけないものが悪いのだ、という風潮があることもおかしいのです。本来人間は、みんな顔が違うように、一人一人違うのですから。」と、言いました。それを聞いていたお母さんは「うーん、うーん。なんだか少し分かってきたように思います。」と、言いました。地蔵は「お母さん、はっきり申し上げます。直子さんが行き詰って自殺してから気付いても遅いのですよ。直子さんの場合は、もっときめの細かい対応をしてあげなければならないと思うのです。まず、さっきも言ったように、直子さんの全人格を受け入れることです。そして、今のいじめられている問題の話しを、よく聞いてやることです。そしてそれに基づいて学校側にいじめの実態を詳しく話し、先生と相談することだと思うのです。お母さんの考えは引っ込めて、直子さんの目線に立ってあげてください。」と、言いました。するとお母さんは「分かりました。とんでもない間違いをしてしまうところでした。まごころ地蔵様いろいろありがとうございました。早速、直子から詳しく話を聞き、明日、学校へ行って先生と相談します。本当にありがとうございました。」と、言いました。地蔵は「分かってもらえて本当によかったです。大人はついつい自分の考えが先に出るものです。注意していないと子供をそのために傷つけることにもなります。このことは何もお母さんだけのことではありません。」と、言いました。そして続けて「それではさらばじゃぁ。お母さん、直子さんを頼みますよ。」と、言ってSSUIMで新潟へ帰っていきました。    

このいじめ問題の報告を受けたウルトラエンゼル総理神は「なかなか問題が複雑になってきているなぁ。大人がしっかりしないと大変だなぁ。」と、つぶやきました。      おしまい

No12.「まごころ地蔵」の、いじめ相談A 
No13.「まごころ地蔵」の、うつ病相談B 
No14.「まごころ地蔵」のいじめ相談C 
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No.28「まごころ地蔵」の、在宅介護疲れ相談D

時は西暦2009年3月のある日の夜、新潟県の「まごころ地蔵」のもとに、地球から9,000億兆光年離れている神界のウルトラエンゼル総理神から、まごころ地蔵の「超高性能宇宙神界パソコン(TSUP)」に一通の「宇宙瞬間移動電子メール(USITM)」が届きました。次のような内容でした。
「拝啓 まごころ地蔵殿へ いかがお過ごしですか。地球は百年に一度の大不況とか。人間は贅沢になりすぎたので、それを維持発展するために大変なのでしょうねぇ。まぁ、その問題はさておき、実は天の川銀河の中心にある「神界宇宙問題発見探査衛星(SUMHTE)」より、日本の東京の世田谷区に住んでいる貝碁豆子さんが病気のお母さんの在宅介護に疲れて自殺を考えている、という報告がありました。この問題は緊急性がありますので、すぐに東京に行って、何とか自殺を思いとどめてもらいたいのです。この貝碁豆子さんは、実にまじめで周囲の人にも明るく接するいい人です。住所等の詳細は下記を参照してください。それではなんとか頼みますぞ。

          
[貝碁豆子さんの詳細]

住所・・・・東京都世田谷区願張町3丁目10-5
年齢・・・・47歳独身
家族・・・・病気で寝たきりの75歳のお母さんと、37歳の独身の妹さんの3人家族。お父さんは前に病気で死亡しています。以上
草々

こんな内容のメールを受け取ったまごころ地蔵はすぐに「了解しました」という返事を送信しました。まごころ地蔵は心の中で「困ったものだ。まじめな人間が一生懸命仕事をして、挙句の果てに自殺を考えるとは」と思いました。そしてすぐに「神界瞬間宇宙移動マシーン(SSUIM)」で東京へ移動しました。

 東京の世田谷区の願張町の貝碁豆子さんは案の上、悶々として死ぬことばかり考えていました。そんな様子を見ていた、まごころ地蔵は、豆子さんの家の2階の窓ガラスを数回たたき「こんばんわ、こんばんわ」と豆子さんに分かるように挨拶しました。そんな外の異変に気付いた豆子さんは窓のカーテンを開けてびっくりしました。なんと、見たこともないお地蔵さんがいるではありませんか。豆子さんは思わず「キャー!」と叫んでしまいました。まごころ地蔵は少し大きな声で「豆子さん、豆子さん。びっくりさせて申し訳ない。実は私は新潟県のまごころ地蔵です。あなたが介護疲れで自殺を考えているというのを知って、何とか思いとどまってもらいたいと思い、相談に来ました。安心してください、私はあなたの味方です。詳しい話をすると長くなるので省略します。とにかく信用してください。まずはお話しをしましょう。はやまってはいけません。この窓を開けてください」と言いました。それを聞いていた豆子さんは恐怖心でいっぱいでしたが、このお地蔵様は少なくとも自分のことを心配してくれている、と感じました。それで一安心した豆子さんは恐る恐る窓を開けました。すると、まごころ地蔵が「失礼します」と言って部屋に入ってきました。部屋に入ってきた、まごころ地蔵は「こんな夜にお邪魔して申し訳ありません。やむにやまれず参上しました。詳しいお話をお聞かせ下さい」と豆子さんに言いました。すると豆子さんは「何で私がこんな状況になっていることを知ったのですか」と質問してきました。まごころ地蔵は「ごもっともな質問です。しかし、今ここで私が詳しいことを言ってもあなたは信じません。だからそのことは省きます。とにかく豆子さん、死ぬことだけは考えないでください」と言いました。こんなまごころ地蔵の答えにびっくりした豆子さんは「分かりました。詳しいことは聞かないことにします」と言いました。

するとまごころ地蔵は「よかった、何とか信じてもらって。ところで豆子さん、何で死ぬことばかり考えているのですか?」と豆子さんに聞いてきました。するとすぐに豆子さんは「とにかく母の介護に疲れました。身も心もくたくたです」と言いました。それを聞いた、まごころ地蔵は「あなたはまじめで何事も一生懸命やるタイプです。今までお母さんの介護と生活を守るために働いてきたのですねぇ。ご同情申し上げます。本当にご苦労様と申し上げたい。あなたは一人で経済的なことと、お母さんの在宅介護を背負ってきたのです。疲れるのは当然です。考えてみてください。山の坂道を、お母さん一人を背負って登ってごらんなさい。くたくたになりますよ。そんなときは誰かと交代しながら休み休み登れば一人にかかる負担は少なくなるはずです。そう思いませんか?」と言いました。するとすぐに豆子さんは「それはそうでしょうが、そんな簡単にはいかないのです」と言いました。そしてしばらく間をおいて「まごころ地蔵様の言うことは分かります。しかし、私はとにかく疲れました。早く楽になりたいのです。死なせてください」と言ってきたのです。まごころ地蔵はそれを聞いて「まぁ、まぁ、そんなに死に急ぐことはありません。黙っていても人間はいつか自然に朽ちて死ぬのです。そんなことより今のあなたの状況を妹さんに正直に話して分かってもらい、在宅介護を一時休んで温泉にでも行って、疲れをとってきたらいいと思うのです。あなたは責任感の強い人です。そんなことはできない、と言うかもしれません。

しかし人間には限界というものがあります。無理に無理を重ねればストレスが心身を蝕み、最後には介護をしている人間までも病気になってしまいます。これでは元も子もありません」と言いました。それを聞いていた豆子さんは「なんでもかんでも自分でやってしまいました。誰にも自分の弱さを見せたくなかったのです」と言ったのです。それを聞いた、まごころ地蔵は「それがいけないのです。何でもかんでも話せる兄弟姉妹や親戚、又は友達を作っておかなければなりません。あなたは一人ですべての問題を抱え込んでしまったのです。どんなに強い人間でもそれでは参ってしまいます。もしあなたが自殺して死んでしまったら、妹さんはきっと「何で私に相談してくれなかったの」と言うでしょう。人間お互いに弱さを見せ合ってこそ本当の意味での理解者になれるのではないですか」と言いました。すると豆子さんは「なんだか自分が間違っていたように思えてきました」と言ったのです。それを聞いた、まごころ地蔵は「とにかく困ったことがあったら相談することです。役所にも専門部署があります。相談窓口もあります。ショートケアサービスもあります。とにかく、一人で抱え込まないで相談しまくるのです。そうすれば何とか道が開けますよ」と言いました。豆子さんはこのことを聞いて一安心したのか「目から鱗です。なんだか気持ちが一変しました。いろいろと相談してみます」と言ってくれたのです。まごころ地蔵は「それは良かった。人間すてたものではありません。あなたの力になってくれる方がきっと現れますよ。まずは妹さんに相談して力になってもらったらいいと思うのです。人に迷惑をかけたくないとかの考えは、介護のときは持たないことです。人と分担し合う、という考え方が大切ですよ。迷惑と考えてしまうと一人で抱え込むことになります」と言いました。

そしてまごころ地蔵は少し間をおいて「今の日本は益々お年寄りが増え、介護問題が大変になってきています。行政がこの問題に追いつけない状況です。本来ならこんな問題をすばやく解決する「高齢者問題一括対策庁」みたいな行政機関を国が作り、すばやい対応をして高齢者の方が安心できる国づくりをしていく必要がある、と私は思っています。在宅介護で介護している方が疲れてSOSを発信したとき、すぐにその代わりとなる応援部隊を各地区に組織していくようにすることも一つの方法だと思うのです。現実はいろいろとやっていますが、問題解決がとにかく遅いのです。そこが問題なのです。そして、まごまごしているうちに犠牲者が出てしまうのです」と言いました。そして最後に「豆子さん、一人で抱え込まないで人に相談しまくるのですよ」と言いました。それを聞いていた豆子さんは「はい、分かりました」と言いました。そしてその瞬間、まごころ地蔵は「神界瞬間宇宙移動マシーン(SSUIM)」のスイッチを入れ、その場からいなくなってしまいました。びっくりした豆子さんは、きつねにつままれた感じになりました。今、目の前で起こったことは夢か幻かと思い、自分のほほをつねってみました。そして「痛い!!」と感じた豆子さんは、今の出来事は本当だった、とあらためて感じていました。そしてなんとか豆子さんの自殺は回避されたのでした。     おしまい